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やらされている運動という意識は、基幹運動が始まった当初から、「上意下達」「一部の者の運動」という批判に象徴されるように、今も根深くあります。しかし、やらされているという意識の中で自己の差別意識、立ち位置を自らに問うことがあったでしょうか。たとえ教団が歴史的に被差別部落の門徒やハンセン病患者を差別し、積極的に戦争協力をしてきたとしても「今は違う、私は差別などしていない」と言えるでしょうか。
確かに基幹運動は、宗門の一人ひとりが、弥陀の本願に呼びおこされ、差別と殺りくの現実に向き合っていこうと自ら立ち上がって起こされた運動ではありません。むしろ、遠く親鸞聖人の時代から「いし・かわら・つぶて」「穢れ多き者」と蔑まれ、虐げられてきた被差別門徒からの「口では平等と言いながら、平気で人を差別する、あなた方の言う信心とは一体何なのですか」という差別法名・過去帳調査を契機とした糾弾学習会での問いかけから始まったことを忘れてはなりません。言い換えるならば、「ともに弥陀に等しく救われていくべき御同朋よ」と、時の支配権力に屈することなく、被差別民衆とともに生き抜かれた親鸞聖人の信心と、私たちの信心は本当に同じなのかと問われているのです。
部落解放同盟による糾弾学習会で突き付けられた問いは、浄土真宗の救いの内実を明らかにせよということなのです。私たちはその問いかけに応えてきたといえるでしょうか。
基幹運動の学びのなかから、教団の体質・構造そのものが、今も差別を内包していることが明らかになりました。僧侶と門徒の関係は、常に誰かを排除する上に成り立っていたということです。そこから院号・法名の問題やお寺のあり方も、自らが克服すべき課題として見出されてくるはずです。またそのためには、門徒と共に取り組むことが不可欠です。基幹運動は、やらされている運動ではなく、長い歴史の中で差別を温存・助長してきた私と教団のあり方に目覚め、浄土真宗を回復していくための運動なのです。
教区基幹運動推進委員会は各組から委員を選出され構成されています。それは、組の代表として教区基推に参画し、そこでの学びや気づきを組や自坊に還元していくということでもあります。しかし、各部会・部門会への長期欠席や、出席率の低下によって、一部の部員に負担が集中し計画通りに進まない部会もありました。また組によっては、組選出委員の出席状況や活動状況を全く把握していなかったり、組基推の中で選出委員の位置づけがなされていないところもありました。「一部の者の運動」から、一人ひとりが基幹運動を担う主体となるための方法を考えなくてはなりません。
2011(平成23)年に迎える親鸞聖人750回大遠忌のスローガン「世のなか安穏なれ」は、本願念仏のみ教えが弘まることが、真の平和につながっていくという前提でなければならないことは言うまでもありません。親鸞聖人は地獄・餓鬼・畜生(戦争・差別・抑圧)さながらの末法濁世の中で、浄土に開かれた心をもって、あらゆる人に仏に成るべきいのちの尊厳を見出されました。
安穏ならざる時代状況は今も変わりありません。差別・戦争・抑圧のない世界を求めつづけていかれた親鸞聖人の願いを、私の願いとして基幹運動に取り組みます。
以 上
2010(平成22)年度福岡教区基幹運動計画に基づいて研修を行い、運動推進をめざしました。
「基幹運動推進のための合同(三者)研修会」では「基本法規整備について」の研修を行いました。宗会議員の下川弘暎さん、髙石彰也さん、奥野総一郎さんを講師に迎え、宗法改定についてそれぞれの見解を提示頂きました。今回の宗法改定は親鸞聖人750回大遠忌を目前にして、あまりに拙速であり十分な議論もなされておらず、門徒・僧侶にも周知徹底がされていないなど様々な問題点があきらかになり、宗法改定によってもたらされる基幹運動への影響を考えさせられる研修会となりました。
その後、2011(平成23)年初頭の臨時宗会において宗法改定の修正案は取り下げられ、採決はされませんでしたが、今後も宗法改定の動きを注視し続ける必要性があります。
「基幹運動推進委員研修」では「次期基幹運動総合基本計画について」の研修を行いました。中央相談員である季平博昭さんより、「基幹運動総合基本計画」の点検評価について講義をしていただきました。点検を踏まえた上で、「御同朋の社会」とは何なのか、今一度議論し、門徒とのつながりや寺院の現状を認識した上で基幹運動の方向性を定めていかなければならないと指摘がありました。質疑応答では『安穏-京都からのメッセージ-』の活用方法や、仮に宗法が改定されれば基幹運動はどうなるのか、などの議論がなされました。
次期基幹運動総合基本計画は2011(平成23)年度に策定されますが、上記の宗法改定後、基幹運動がどのような形で存続するのか予断を許さない状況であると言えます。
教区基幹運動推進委員が組選出のみになって8年を経過しましたが、委員の会議・研修会への出席率がいまだに低い状況です。そのため、委員が教区と組のパイプ役を果たせず、教区と組の連携がとれない状況にあります。
過去、基幹運動は「一部の者の運動」と批判されることがありましたが、今の現状はその「一部の者の運動」にすら成り得ていない危惧があります。このような状況を打破するためにも、組における委員の位置づけを明確にし、委員の意識高揚を図る必要があります。
以 上
今年度は教区内2組から4通、教区基幹運動推進委員会から1通、計5通の建議が寄せられました。教区基幹運動推進常任委員会で協議した結果、3項目を教区基幹運動推進委員会全体会に諮り、全体会での了承を経て、福岡教区建議として中央基幹運動推進委員会へ提出しました。また今回見送った建議については、その理由をつけて「提出された建議項目に対する回答」として全組に報告しました。
2010(平成22)年度福岡教区提出建議は以下の通りです。
①新しい「同朋運動総括書」の作成を求めます
②帰敬式奨励運動を強力に展開することを求める建議
③「宗法」の改正に関して、基幹運動の課題について明確にすることを求めます
①は、1996(平成8)年の「浄土真宗本願寺派連続差別事件第5回糾弾会回答書」において、宗門の同朋運動総括および展望が述べられ、それらを基に今日までの同朋運動は展開されてきました。しかし恥ずべきことに、現在も宗門内での卑劣な差別事件は後を絶たちません。
同朋運動の課題が全僧侶の課題になり得ていないことや、教学的課題を克服する「御同朋の教学」の構築がいまだになされていない現状を直視した時、もはやこの「回答書」の内容では間に合わない事態であること、またこの間新たに僧侶となった人たちにとって、解放同盟からの糾弾が「過去の歴史」となりつつあること等の危機感から、現「回答書」以降15年の新しい「総括書」の作成を求める建議をしました。
糾弾が「過去の歴史」となりつつあることへの危機感について、他教区からも同様の意見があがりました。
②について、2009(平成21)年度にも法名の本来化に向けて、法名・院号について調査・検討する機関の設置を求める建議をしました。今回は福岡教区報恩講での帰敬式の事例を紹介するなど、より具体的な法名の本来化に向けての方策を打ち出す建議でした。第二回中央基幹運動推進委員会では、他教区から多くの賛同を得られ、総局としても参考にさせていただきたいという発言がありました。
③の宗法改正に関する建議は、5教区から6件提出されました。いずれの建議も宗法改正による中央集権化、議会制民主主義の崩壊によってもたらされる基幹運動への影響を危惧する内容です。中央委員会の協議でも各教区から「なぜ今この時期に」「拙速すぎる」「総局巡回の各教区意見の取りまとめや経過報告すらなされていない」など批判や反対意見が相次ぎました。橘総長は第一回中央基幹運動推進委員会での発言で、改正の理由を宗会の政局化と停滞、財政のスリム化を根拠に説明されましたが、宗門内の反対意見が多い中、拙速な結論を出すべきではないと考えます。
親鸞聖人750回大遠忌を契機に、今後、十分な議論を尽くすべきです。
以 上

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