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2016年8月の法話

40年を越えて

笠賢信 本願寺派布教使 福岡組 妙静寺

前に生まれん者は後を導き、後に生まれん者は前を訪え

このお言葉は親鸞聖人の『教行信証』というお書物の最後に出てくる言葉です。 七高僧の一人である道綽禅師の『安楽集』という書物に出てくる言葉を、親鸞聖人が引用されたものです。

永代経や報恩講の時期になりますと、たくさんの御門徒方が組内のお寺のお聴聞の為にお参りしてくださいます。
私もなるべく他のお寺にお参りしお聴聞をさせていただくようにしておりますが、先日あるお寺にお参りして先輩のお話をお聞かせいただいておりますと、私の母のお話がでてまいりました。
というのも、その先輩には近く初めての息子さんが生まれ、その息子さんを私の母に抱いてもらった時の話でした。

「本当にかわいいわね。でもこの子もこれから、どんな人生をあゆむんでしょうね。色んなことがある人生でしょう。そう思うと余計愛らしくなってくるわね」そう言われたんだそうです。 我が子が生まれてきた喜びだけに目を受けてきた自分にとって、その一言が非常に印象的だったそうです。
「たくさんの事を経験してこられたからこそ、言えた言葉だったんでしょうね。我々の人生はどうなるかわからない。いろんな苦悩を抱えて生きていかないといけない。でも悲しみがわかるからこそ喜びもわかる。苦しみがわかるからこそ尊さもわかるんじゃないでしょうか」 そんなお話でありました。

その事をかえって母に伝えますと 実は母自身も40年ほど前、お嫁にきた時 近くのお寺の坊守様に同じことを言われたんだそうです。
その事を思い出し、40年という月日が経ち、我が四人の子も育ち、その先輩が息子を連れてきたときに改めて自分も同じように言われたその言葉を思い出したんだそうです。
我々の浄土真宗のみ教えとはそうやって、人から人へと、語り伝えられてきたのでしょう。限りない人々がそれぞれの人生の中で苦悩し、その中でお念仏に出遇われ、その喜びによって伝えられてきたみ教えであります。
それと同時に我々がこの み教えを、後に伝える事の大切さをも改めて教えていただいたご縁でありました。

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