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2020年5月の法話

あたたかいお心

川﨑潔 本願寺派布教使 怡土組 長楽寺

阿弥陀様のお心は「あたたかいお心」です。

それは「人の苦しみ、悩みを自分のこととして共感し、それを癒やし、治してゆこうとする」お心です。

私は阿弥陀様のお心を考えるとき、数年前のことを思い出します。

当時、私は原因不明の偏頭痛に悩まされていました。まず頭痛が始まる少し前に、チカチカと眼の見え方に変化が起き、その後ズキンズキンという側頭部の痛み。加えてひどい吐き気がしてきます。

この病気には苦労することが二つあります。ひとつは、いつ症状が出るのかわからないこと。もうひとつは、周りからみても頭痛のつらさがなかなかわかってもらえないことです。頭痛のつらさは外見からはわかりません。病院で精密検査をするも経過観察となり、ときおり突然起こるこの症状に悩まされながら、10年以上暮らしていました。

数年前の夏のお盆のことです。朝から回り始めたお盆参りも残り数件となっていました。ある御門徒様のお宅でお参りを終え、世間話になりました。その会話の中で私は持病の頭痛の話をしました。そうするとその方は、「つらいよね。頭痛って他の人から見てもわからんよね」と頷きながら親身に聞いてくださいました。私は「そうなんです」と思わず言葉がでました。

よくよく伺ってみると実はその方も偏頭痛に悩まされていたそうで、会話がはずみ、病気のつらさを話すことができました。そして頭痛の治療について色々と教えてくださいました。私は思わぬ一時に心がほぐされ、私の苦しみ悩みを自分の苦しみとして聞いてくださるその方のお姿に、阿弥陀様のお心が重なって見えました。

忙しく日常を送る私たちは、様々な悩みや不安、人には言えない内面を抱えながら人生を歩んでいます。そんな時、相手にその苦しみ悩みを共に感じてもらえることで、ほっとして心が落ち着くことがあります。阿弥陀様も同じように、そんな私達のつらさ、悲しさをともに感じてくださるのです。共に自分の悩みとして感じてくださるからこそ、その苦しみを癒やしていきたいと私達にはたらきかけてくださるのです。

阿弥陀様は南無阿弥陀仏の声となり、いつでもどこでも「心配いらないよ。まかせなさい」と届いてくださいます。私達一人一人に、「つらいね。悲しいね」と寄り添い支え続けてくださいます。「お前を決して捨てない仏はもうここにいるよ」と告げてくださいます。その阿弥陀様のあたたかいお心に出遇う時、おおきな安心が心に広がるのです。

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