ご法話

トップページ > ご法話

2020年7月の法話

本当のことに気づき歩む人生

赤星大道 本願寺派布教使 東筑組 浄蓮寺

2020年に入って日本で猛威をふるい始めた新型コロナウイルスは、春が過ぎ、初夏を迎えた今でも、多くの感染者の方を苦しめ、私たち一人一人の生活に多大な影響を与えています。

まだ寒さも残る3月、ご門徒のお宅にお参りをさせていただいた時、お仏壇の近くにかけてあるカレンダーが目に入りました。それは真宗教団連合から出されたカレンダーで、このような言葉が書かれていました。

「本当のものがわからないと 本当でないものを本当にする」

ちょうどその頃、様々なものの「買い占め」が問題となっていました。マスク不足は事実として不足していましたが、トイレットペーパー等の買い占めは、SNSから発信された誤った情報がきっかけだったようです。そしてこれらの情報が誤りであることが報道されると、実際にそれらの買い占めはすぐに収束していきました。本当の事がわからないとSNSの不確かな情報ですらも信じ、買い占めに走ってしまうのが私たちです。連日報道されるニュースを見ながら、この言葉を痛感させられる出来事でした。

親鸞聖人は「正信偈」の中で「煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我」と偈っておられ、「私たちの眼は煩悩によって妨げられて見えないが、常に阿弥陀さまは私たち一人一人のことを照らしてくださっている」とお伝えくださっています。

私たちはどうしても自らの知識や思いによって物事を見てしまっています。そして自らが煩悩に惑っていることにすら気づかず、自らの見えていることこそ本当のことであると思って生きているのです。

そんな私たちに阿弥陀さまは「南無阿弥陀仏」というお念仏を通して、「本当のことに気づいておくれよ」と喚びかけ続けてくださっています。そして私たちは「南無阿弥陀仏」をいただき、それまで自らの眼には映っていなかった本当のことに気づかせていただくのです。

では本当のこととは何かというと、「私は煩悩に惑っている存在である」ということと、「その私を決して見捨てることなく、ともにしてくださる阿弥陀さまがいらっしゃる」ということです。私たちはこの世で生きている限り、煩悩がなくなることはありません。その人生の歩みの中で、皆で喜ぶその時も、孤独に苦しむその時も、片時も離れることなく、ともに歩んでくださるのが阿弥陀さまです。「南無阿弥陀仏」と出遇って本当のことを知り、「南無阿弥陀仏」とともに、人生の一日一日を大切に歩ませていただきましょう。

このページのトップへ