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2021年7月の法話

豪勢な人生

西村達也 本願寺派布教使 東筑組 西法寺

私の父は今年91歳になります。昨年初めてスマートフォンを購入しました。90歳にしてスマホデビューで、只今YouTubeにハマってます。いろんな情報を入手していますが、なかでも著名な先生方のご法話をよく聞いています。特に梯実円(かけはし じつえん)先生のご法話『本願のこころ』を繰り返し聞いていました。梯実円先生とは、先年ご逝去なさいましたが、西本願寺を代表する名僧です。皆さんもコロナ禍の今はご自宅で聴聞三昧してはいかがでしょうか。

さて、その父が先日、嬉しそうにこう話すのです。「長生きした理由がわかった。私の90年の人生は阿弥陀様の本願のこころに出会うためであった。これまで長いこと時間がかかった、お手間を取らせた」と。父は心臓の手術を目前にして、私たち家族に「私が死んだら大いに祝ってくれ。浄土往生、お浄土に往きて生まれる、これほどめでたいことはないのだから。」と言いました。これまで、こんなことを言う父ではありませんでしたので、梯先生との出会いは父にとって余程のことだったのでしょう。

手術は無事終わりました。父は手術室に入る時の様子を次のようにメモに綴っていました。

手術の日です。病室に娘が来てくれました。時間が来て、寝台車に乗せられて、手術室の控室まで行きます。付き添いの娘もそこまでです。お父さん頑張って!と言う娘の声を後にして、たった一人になって長い病院の廊下を行くのです。白い天井を見ながら行くのです。その時、いつもの称える念仏が自然と出るのです。私はアミダ様と一緒にいるのだと思いました。そうしてアミダ様に付き添われている私は、なんと豪勢な手術だろうと思ったのです。・・・・・手術はきちんと予定の時間に終わったようです。集中治療室の中で目を覚ましたのであります。

阿弥陀様のことを本気で語る父の一言一言が、私の心に響いてくる今日この頃です。ナモアミダブツ、ナモアミダブツ、私たちの人生はなんと豪勢な人生でありましょうか。ナモアミダブツ、ナモアミダブツ、阿弥陀様に付き添われ護られた人生。もっとも優しい、もっとも強い、もっとも賢い阿弥陀様にエスコートされたお浄土への人生なのであります。

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