浄土真宗本願寺 福岡教区

MENU

みんなの法話

中川一晃 御笠組 願應寺

 学生時代にニュージーランドに行った時の話です。ニュージーランドには日本にいない動物や鳥が沢山いると聞いていましたので、地元の動物園に行ってみることにしました。順路通り歩き、さまざまな動物や鳥をみてまわり、最後に特別展示のコーナーに寄りました。そこには大きな箱が置いてあり
「この箱の中には世界で一番凶暴な動物がいます。」
と書いてありました。私は恐る恐る箱を開けると中には鏡が入っていて私の顔が写っていました。その箱の隣には、世界各地で起こっている動物の乱獲や環境破壊が原因で絶滅しつつある動物の実態が解説してありました。そして、そういった乱獲や環境破壊の原因が私たちの生活につながっているということも書かれていました。その展示を通して私が欲望に身を任せ、際限なく便利さや豊かさを求めていく裏側には数えきれない命を傷つけ奪っているという現実に気付かされました。世界で一番凶暴な動物は私だったのです。

仏教は鏡のような教えであると喩えられます。浄土真宗では本当に大切にしたい命の見方を教えてくれる仏を阿弥陀仏と呼びます。
阿弥陀仏は全ての命を平等に尊んでいく仏であり、そのような命の見方をお互いがしていくことが大切であると私たちに呼びかけてくれています。そんな阿弥陀仏を鏡としていった時に私の内面や生き方があぶり出されます。それは、全ての命を平等に尊んでいく阿弥陀仏とは真逆の自分の欲望に身を任せ、他の命を考えることない私第一主義の姿です。そんな私の姿に気付かされたならば、今までの生き方を反省し、これからをどう生きていくのか。人生そのものの問いをいただきます。どう生きていくのか?共に考えてみませんか?