浄土真宗本願寺 福岡教区

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みんなの法話

花田照夫 本願寺派布教使 西嘉穂組 長明寺

以前、御門徒の御婦人にこんなことを言われました。

 

「若住職さん、私、子どもの時に祖母から“○○ちゃん、ゆりの花はね阿弥陀さまの花なんだよ”と教わりましたけど本当ですか?」

思わず「えっ、そうなのですか。私、聞いたことがありませんが…」と言うと、御婦人はこう説明してくださいました。

 

「祖母が言うには、ゆりの花は蕾(つぼみ)の姿が合掌する手の形によく似ていて、さらには、その蕾が開いていく姿が南無阿弥陀仏のお念仏をあらわしていくんだそうです」

「ん?咲く姿が?南無阿弥陀仏?何故でしょうか?」

「ゆりの花が六枚の花びらだからです」

「なるほど!南無阿弥陀仏の御六字ということなのですね!」

尊い学びをさせていただいたことでした。

 

 

“合掌の姿”。

下にさがっている手が30センチ、40センチ上に上がって、その両の掌が合わさる…。何気ない姿かもしれませんが、これって凄く尊い姿なのだと思います。極端に言えば、そのわずかな距離の中にその方の歩まれた人生そのものがつまっているのです。

 

しかし、さればこそだからこそ、その一歩先の世界を大切にしていきたいものです。

ゆりの蕾があの可憐で優雅な姿に開花していくように、合掌の姿をした人の口から静かに温かく溢れてくださるもの、それが南無阿弥陀仏のお念仏です。

 

 

浄土真宗の御開山親鸞聖人は南無阿弥陀仏は阿弥陀さまのお喚び声だと味わっていかれました。この私の全てを見抜いてくださった阿弥陀さまが我に任せよとこの私を呼んでくださるのです。その喚び声を我が口で称え、我が耳で聴かせていただくところに浄土真宗という仏道があります。

 

ゆりの花は阿弥陀さまの花。

蕾の姿は合掌で、それが南無阿弥陀仏と花開いていく。

大切なお示しであります。