浄土真宗本願寺 福岡教区

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みんなの法話

中島 至  本願寺派布教使 怡土組 玉栄寺

人間ってなぁに? これは、4歳の息子から受けた衝撃の質問でした。

 

先日、息子のお遊戯会で園児たちが「にんげんっていいな」という曲を歌いました。その日の晩「ねえねえ、お父さん。今日みんなで歌ったにんげんっていいいな。の“人間って、なぁに”」と質問されたのです。私は「來(息子)の事だよ」と答えました。「人間って僕のことだったのか…。」と息子は少し驚き、「じゃあお父さんは人間じゃないの?」と聞いてきました。私は慌てて「お父さんも人間だよ」と答えると、すると息子が「本当に? 本当にお父さんも人間なの」と目を丸くし、家族一同大笑いでした。

 

私は息子の「本当に人間なの」という言葉が頭に残りました。それを知るためには、人間の心を映し出す鏡が必要なのです。親鸞聖人は、その答えを阿弥陀さまのみ教えに求められました。

 

例えば、自分にとって都合の良い人間は善人とほめるが、自分にとって都合の悪い人間は、悪人と批判します。自分のものさしでしか物事を見る事のできない私です。その心を映しだされた時、なんとも恥ずかしい私だったと気付かされます。

 

親鸞聖人は、阿弥陀さまのみ教えの鏡に映し出された我が身を厳しく見つめ続けられました。その鏡に映しだされた我が身の愚かさに深く悲しんでいかれたのです。そして、このような私こそを救わずにはおれないという阿弥陀さまの慈悲に目覚められたのです。

 

み教えの鏡に映し出された我が身を絶えず省みて生きていく事、それが「本当の人間」の有り様ではないでしょうか。

 

合 掌