浄土真宗本願寺 福岡教区

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みんなの法話

七里 信路  本願寺派布教使 福岡組 善照寺

親鸞聖人は今から750年前の弘長2年11月28日、満90歳でご往生されました。西本願寺では、これを今の太陽暦になおし1263年1月16日をご命日とし、毎年1月9日から16日までご命日法要として「御正忌報恩講」をお勤めしています。

今年は、ちょうど750回忌に当たり「親鸞聖人750回大遠忌法要」として、昨年の4月から6期の法要がお勤めされました。そして、この度の「御正忌報恩講」は「御正当」という言い方をします。正しくちょうど750回忌に当たるという意味です。

 

聖人のご生涯の中で特に晩年ですが、82歳の時、京都では大地震がありました。翌年83歳の時、12月に火事に遇い焼き出され、弟の尋有さまのお住まいへ引っ越されます。84歳の時、ご子息の善鸞を義絶されます。義絶とは親子の縁を切ることですが、ただ血縁を絶つだけでなく、仏法の上での裏切り行為に対する断絶を意味します。辛い悲しい身を切るような決断であったと思います。そういうさまざまな事件や出来事に見舞われながらも、それまで以上に執筆活動に専念されます。

恩師法然聖人のお言葉を書き綴った『西方指南鈔』、この書物は紙の数で約600枚もあるそうです。そして、『正像末和讃』116首など、とても85歳の老人がなせる業とは思えないほどのバイタリティーを伺い知ることです。

その『正像末和讃』の1首目は、

 

弥陀の本願信ずべし

本願信ずるひとはみな

摂取不捨の利益にて

無上覚をばさとるなり

 

とあります。さまざまな事件や出来事にも屈することなく「弥陀の本願信ずべし」とまた初心に戻ろうと自分自身に言い聞かせるお言葉として響いてきます。復元力といいますか・・・聖人のご生涯を支え貫いて下さっている阿弥陀さまの確かなお救いの力を思い知ることができます。

 

「御正忌報恩講」は親鸞聖人のご遺徳を偲ぶ法要ですが、それは同時に、聖人の90年のご生涯を支え貫いたお念仏のみ教えをあらためて聞きひらく大切なご法縁でもあります。是非とも、京都本願寺の「御正当」のご縁に合われてみて下さい。

 

合 掌