浄土真宗本願寺 福岡教区

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みんなの法話

大蔵 誠道 本願寺派布教使 福岡教区 志摩組 法正寺

先日珍しく父と食事をする機会があり、久しぶりに晩酌をしました。私の子どもが小さい頃は定期的に一緒に食事をとっていましたが、大きくなるにつれて少なくなってきたので、久しぶりの機会でした。お互いにお酒は嫌いではありませんので、芋焼酎の五合瓶の残りが減っていくうちに、本音で話をするようになりました。そんな中、ふと父が「いつか一緒に孫と酒が飲みたいなぁ~」とポロリと口にしました。下の娘は今5歳ですので、75歳の父が一緒にお酒を飲むためには、最低でも後15年は長生きしなければなりません。さらに、15年後にお酒を嗜めるように健康を維持する必要もあります。父はそんなことは承知の上で、「まぁ、どうにかなるやろ。無理やった時はまかせとくばい。お浄土で焼酎の五合瓶、ちびちび飲みよくけんね。」と言いました。私は「ロックは体に悪いので、八功徳水の水割りにして飲みよきなさい。」と返すと、笑いながら寝室に戻っていきました。親子だからこそできる冗談ではありますが、阿弥陀様のお救いを共に喜び、往き先が定まっているからこそ出来る話なのだと気づかされました。

 

浄土真宗のみ教えは「私が仏になる教え」ではなく、「私を仏にする教え」です。私が仏様を信じたり、信じなかったりすることで変わる往き先ではなく、私を仏にならしめんとする如来様のおはたらき一つで定まった往き先です。父の「まぁ、どうにかなるばい」の言葉の背景には、私を必ず仏にするという広大なお慈悲がありました。阿弥陀様という仏様は南無阿弥陀仏の声となり、常にはたらきつづけてくださいます。悲しい時、苦しい時、嬉しい時、いつでもどこでも阿弥陀様がご一緒です。お念仏申しながら、お浄土までの道のりを共に歩んでまいりましょう。