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西徳寺入口の石柱に「為衆開法蔵 廣施功徳寶」という『重誓偈』（お経の中に納められた詩うた）の一節が彫り込まれています。
これ言わば西徳寺の看板で、「ここは私たちに南無阿弥陀仏の意味を伝えるためのお寺です」と掲げてあるのです。「南無阿弥陀仏」のお念仏を、私たちが阿弥陀さまに願い事をする時の呪文のように受け取っている方も多いと思いますが、これは阿弥陀さまからの喚よび声です。
「あなたのいのちの往き先は私にまかせなさい」という阿弥陀さまからの声です。「しっかりしなさい。間違えてはいけません」と叱咤激励する声ではなく、「私がしっかりしているから大丈夫。絶対間違わさないから安心して」と私を包み込んでいる声です。
私がしっかりするのは大変です。間違えるなと言われても約束できません。しかし、しっかりするのは私の仕事でなく阿弥陀さまの仕事でした。私が間違えないのではなく、阿弥陀さまの間違わさないぞという声に任せきれば良いだけでした。
ただ「南無阿弥陀仏」のお念仏に出遇っても生きる上での悩みや不安は消えません。欲も怒りも尽きることがありません。でも「南無阿弥陀仏」の中にいると安心しきってジタバタ出来ます。不安を抱えたままで「居場所」が出来ます。
「安心」と「ジタバタ」、「不安」と「居場所」。「南無阿弥陀仏」の意味と謂いわれを聴かせて頂くと、この矛盾するはずの組み合わせが、矛盾なく聞こえてきます。
どうぞ西徳寺の本堂で、一緒に「南無阿弥陀仏」のお話を聴聞させて頂きましょう。